福岡名物 屋台

最終更新日 2021/06/18

福岡市の名物の一つはなんと言っても屋台です。長崎や高知、久留米にもありますが、福岡スタイルの屋台が10軒以上ある都市は他になく、戦後の混乱期が発祥と言われるので既に約75年、伝統文化と言えるでしょう。

2020年度福岡市で営業している屋台は合わせて103軒、ピーク時には400軒を超えていましたが、高齢化や後継ぎ問題などで徐々に減少、平成7年に新規参入は認めない方針が行政機関で初めて示され平成12年に決定。この時点で屋台数は約200軒、10年後には約150軒にまで減ったため、平成25年に福岡市屋台基本条例が施行され、屋台の場所の固定化、ルール遵守、名義貸しの是正などが決まりました。

平成28年には初の屋台公募が実施され新規参入者23軒が、令和元年には2回目の公募で9軒が営業を始めました。

博多の雰囲気が楽しめる中州エリア

福岡市内で大きく分けると、中州地区、天神地区、長浜地区の3つのエリアが屋台集中地域と言われていましたが、最近は長浜地区の屋台が激減し今ではたったの4軒、時に営業しているのは1軒だけという夜もあるようです。

まず中州エリアですが、博多区の国体道路と那珂川が交差する春吉橋を挟んで東側の川沿いに、北に5軒南に19軒が連なります。福岡の2大繁華街天神と博多駅周辺のちょうど中間に位置し、川沿いなので屋台や町の灯りが水面に映り、景色としてはまさに博多の屋台街という雰囲気です。

屋台を紹介する雑誌や旅行誌、インターネットのウェブサイトでは必ずと言っていい程この区域の写真が掲載されています。最も写真映えするエリアです。数も多いので様々な種類の食材を楽しめ、人通りも多く活気を感じる場所です。またさらに北側の昭和通り沿いにも10軒が軒を連ねます。

一つ一つのメニューに必ず料金表示がある事を確認して入店し、支払い前におおよそを自分で計算する事も対策になります。近くには大型ショッピングモールのキャナルシティ、博多山笠の櫛田神社などのスポットも点在しているので周囲の散策も楽しめそうです。

30軒もの屋台がある天神エリア

 次に天神エリアです。南北を走る渡辺通沿いに32軒、北は天神交差点付近から南は渡辺通4丁目まで約800mの間に東西に分かれて様々な色の暖簾が並びます。第1回公募から営業を始めたフランス人の店や中日ドラゴンズファンが集う店、もつ鍋やラーメンがおいしいと評判の店もあります。一方東西に走るメインストリートの一つ昭和通り沿いには、渡辺通との交差点の東に7軒、西に7軒が営業をしています。ここには天ぷら専門店、鉄板料理店、カクテルバー専門屋台など個性に富んだ店が多いのが特徴です。

魚市場の横にある長浜エリア

 最後に長浜エリアですが、以前は客も多く屋台の数も15軒以上あり福岡出身のミュージシャンやアイドルが必ず訪れる場所でしたが、繁華街からやや距離があり公共交通も不便なロケーションという事もあって今では4軒になってしまいました。それでも中央卸市場鮮魚市場に近く食材の種類が豊富、長浜ラーメンという言葉もあるようにラーメンは絶品という人気のお店、元々大工だった大将が自ら手作りした屋台で40年以上の歴史を持つ店も存在します。

屋台でのマナーについて

 他にも天神西通りや国体道路沿いにも屋台が立つ福岡市、その屋台にはルールがあって、生ものは一切提供できません。たとえ野菜サラダであってもメニューにはありません。決められた屋台の枠をはみ出してイスを並べたりもできません。従って満席の場合は通行人の邪魔にならないよう外で待つ事になります。客の側にも暗黙のルールがあり、入ればまず飲み物を注文、飲食の注文はできるだけ早く、一通り飲み終わり食べ終わったら長居せず速やかに店を出る事、これはある程度低額の料金設定なので店の回転を良くする事への協力です。

 バブル時代の頃に屋台がブームとなり、テレビや雑誌で全国的に何度も取り上げられるなどし、地元の客よりも他県からの観光客が一気に増え、メディアで多く紹介された店には毎日のように行列が出来る風景が当たり前になりました。さらにインターネットが発達してからは海外からの客が増え、外国語のウェブサイトを持っている店には様々な国からの観光客が来店し、日本語ではない言葉が飛び交いここはどこの国だろうかという雰囲気になる事もしばしばです。

四季を通じて楽しめる屋台

 最も良い季節はやはり春と秋で、ビル街を抜ける春風や涼しい秋風を感じながら博多の味を楽しむ時間は大変心地よいです。ただし夏はさすがに暑い。屋台の周りを囲む暖簾は全て取り払われます。そんな中で飲むビールは最高にうまい。そして冬はさすがに寒い。屋台の周りには風除けの分厚い膜が張られます。それでも足元から冷たい風が入っては来ますが、そんな中で食べるおでん、ラーメンなどは最高にうまい。よって四季を通じて十分に楽しめるのが福岡の屋台です。

 最近は半分以上が観光客なので、各地の方言も飛び交い全国のコアな話も交わされるため福岡にいながら全国に行った気分になれる事もあります。話を通じて隣り合った客同士がすぐに友達になり、一期一会の時間を過ごす人もいればウマや波長が合えばもう1軒と別の店に連れ立って行く人達もいて新たな出会いや人間の繋がりが生まれたりもします。屋台の最も良いところです。

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