高知の旅その2 祖谷と剣山

最終更新日 2021/06/18

室戸を後にして、高知市方面に戻り、南国市から高速を使い、徳島県の祖谷に向かいます。以前にアレックス・カーという人の ”美しき日本の残像” という本を読んだことがあり、日本の秘境、祖谷とはどんなところであろうかと気になっていたところです。

ビーガン料理が楽しめる古民家の宿 空音遊

吉野川の大歩危から右折して川を渡り、今日の宿泊地である古民家宿 空音遊(くうねるあそぶー意味は食う寝る遊ぶだそうです)に向かいます。ここは集落外れにある古民家を改造した宿泊施設で、ビーガン料理を出す宿です。不便な場所にある宿で畳部屋が3部屋のみですが外国人でいっぱいでした。お風呂は無いので、近くの温泉まで車で送ってくれる、とてものんびりしたところです。

夕食は皆が決められた時間に畳敷の談話室に集まり、そこで一緒に食べるのですが、日本人は僕だけで、あとは全て外国人。雑談はもちろん英語です。出てくる料理は肉、魚、乳製品を使わないビーガン料理で、僕は精進料理を想像していたのですが、多くが洋食風のおかずで、最後には豆腐とアップルジュースで作ったチーズケーキが出てきました。

台所では若い日本人の女性たちがガヤガヤ言いながら食事を作っていて楽しそうで、後で聴いてみると、ビーガン料理を習いたい人がここで住み込みで修行、お手伝いに来るのだそうです。

経営者の方とお話ししたのですが、もともとは自分の体を治すために食の世界に入り、ビーガンにたどり着いたとのこと。今ではその力を見込まれて、市街にあるビジネスホテルの運営も任されている立派な経営者でした。日本の田舎には魅力ある人がいて面白いです。

ここでの夕食中に、僕の目の前に座った中国人(奥さま)とオーストラリア人(ご主人)とずいぶんお話が弾みました。ある話の内容から、僕の妻の知人であるかもしれない事に気がつき、彼らに、もしかしたら、あなた(ご主人)は僕の妻と一緒に働いていた方ではありませんか、と尋ねると、これがドンピシャで、地球の狭さを感じる一瞬でした。

秘境祖谷渓にある祖谷温泉

次の朝、彼らとオランダから来た旅行者を僕のレンタカーに乗せて、宿のご主人から勧められた秘境祖谷渓の祖谷温泉へ行きます。ケーブルカーで谷底に降りていって、温泉に入るという事で、正直あまり期待していなかったのですが、この温泉がよかった。低めの温度のほんのり硫黄の香りがする炭酸がたくさん含まれるお湯で、ガンガン湧き出しています。横には川が流れ、ゆっくりすることが出来ます。おすすめです。

ここは秘境という名前の看板が多く目に着くところで、確かに川は翠で、山は深く、山の斜面に民家がへばりついているところもありますが、バブル時の開発の行き過ぎなのか、コンクリートの建物、お土産や、廃屋が多いところもありました。

四国で二番目に高い山 剣山

温泉で彼らと別れて、その日の目的地の剣山に向かいます。人気が全くないのに、人形の子供達や、老人が日向ぼっこしている、ちょっと不気味なカカシの村を過ぎて、山の奥へ奥へ運転するのですが、なかなか目的地につきません。

途中でヒッチハイクをしていたある登山者の方を乗せて、登山口に着きます。彼は下山予定のところに自分の車を置いて、そこから道を歩きながらヒッチハイクをしていたようです。

剣山は四国で二番目に高い山(約2,000メートル)で、名前から自分はとんがった山を想像していましたが、なだらかな山で、しかも登山口にはリフトが私たちを待ってくれています。

剣山で車のカギの出来事

リフト降り場からは彼とおしゃべりをしながら山頂へ向けてのハイキングです。彼は山頂を過ぎてその向こうにある山小屋に泊まる予定なので山頂でお別れしましたが、この2、3時間程度のハイキングは景色もよく、歩きやすく、とても良いと感じました。ちなみに山頂付近にとんがった大きな岩が突き出ていて、これが剣山の由来と聞きます。

さて僕が下山をして駐車場で車に戻ると、助手席に車のキーが置いてあることに気がつきました。これが先ほどの彼のキーであることに気がつき、山奥で携帯は通じない、彼は今夜は山小屋泊まり、彼の車がどこに止めてあるのかも判らないなど、ちょっとしたパニックになりました。しかしながら、歩いている時に、横浜にある自宅からランクルを使って登山旅行をしている事を彼が話していた事を思い出しました。

それからは彼のランクル探しです。20分ほど車で道を戻ると、道脇に大きめな駐車場があり、そこで横浜ナンバーのランクルを見つけました。これで間違いはないであろうと考え、キーをすぐには判らないところに隠し、ワイパーのところに自分の携帯番号を記載したメモ書きを残します。こうなると推理小説です。次の日の運転中に彼から電話がかかってきました。

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