宮地獄神社と宗像大社

最終更新日 2021/06/18

福岡市の東に位置する福津市、宗像市は2017年に「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群として世界遺産に登録された地域です。宗像市にある宗像大社と福津市にある古墳群がその対象です。

宮地獄神社

世界遺産には含まれませんが、福津市にある宮地獄神社ではJALのテレビCMで一躍有名になった「光の道」を10月と2月の年に2回、一週間ほど見ることができます。境内から階段、参道、海に続いて一直線に夕日が沈むのです。

光の道

神社の拝殿前には大きなしめ縄がかけられています。毎年取り替えるしめ縄としては「日本一大きなしめ縄」です。暮れには大勢の氏子さんたちが、新しいしめ縄をなって新年の前に取り替えます。この神社には他にも日本一があります。「大きな太鼓」と、「大きな鈴」です。ここ宮地岳神社に祀られているのは、神功皇后とその家臣2名です。

古代の宗像

宮地獄神社から車で20分ほどの所に宗像大社があります。古代この地には海の民、宗像族がいました。漁業を生業とする人々はいつからか、朝鮮半島に住む人々と交易するようになり、富を蓄え、大和朝廷ともつながり、大きな力を持つようになりました。彼らは朝廷から祭事をまかされ「神宿る島」沖ノ島で神に航海の安全を祈り、また交易の成功を祈り、そして感謝の祈りをささげてきました。島にはたくさんの掟がありました。「島で見聞きしたことを口外してはならない」「島のものは草一本持ち出してはならない」と定められていたため、たくさんの神宝が残されていました。沖ノ島で行われた古代祭祀遺跡の発掘調査により出土した、4世紀から8世紀のものとみられる8万点の出土品が国宝に指定され、今、私たちは、宗像大社にある神宝館でこれらの一部を見ることができます。中国、朝鮮半島、遠くペルシャからもたらされた学術的にとても評価が高い貴重な神宝が展示されていて圧巻です。沖ノ島では、現在神職一人が10日交代で奉仕しています。

宗像大社駐車場の近くにある「海の道むなかた館」では沖ノ島に関する展示や、大きな画面で沖ノ島のビデオを見られます。無料の施設なので、ぜひ立ち寄ることをお勧めします。

「宗像大社は新車を買ったらお祓いに行くところ」つまり交通安全の神様として、崇められています。けれども、大島や宗像の地で漁業を営む人々にとっては、同じ交通安全でも車ではなく、船の安全を祈願する神様なのです。

宗像大社の三姫神

遠い昔から、宗像大社の三姫神は、海を守る神として、この地に住まわれたのです。沖ノ島には、田心姫神(たごりひめのかみ)の沖津宮、大島には湍津姫神(たぎつひめのかみ)の中津宮、そして宗像の地には市杵島姫神(いちきしまひめかみ)の辺津宮があります。一般に宗像大社といえば、最後の辺津宮を指しますが、本来はこの3つを合わせて宗像大社です。

沖ノ島と陸地の間に大島があります。神湊渡船ターミナルからフェリーで25分です。中津宮にお参りするだけでなく、高台にある遥拝所から、遠く沖ノ島を臨み沖津宮に参拝することができます。レンタルサイクルで島めぐりも楽しめます。島の北部にある風車展望所から見る紺碧の海は絶景です。

陸地にある辺津宮の境内はとても広くて、16世紀に再建された拝殿,本殿の建物も立派です。うっそうと茂った木立を抜け小高い山の上にある高宮斎条にもぜひ行ってほしいと思います。とても神聖な場所で、毎月1日と15日にはここで、厳かに神事が行われています。沖ノ島での神事を彷彿させる雰囲気です。

宗像の地の歴史を紐解くとき、九州と中国や朝鮮半島とのつながり、また大和政権とのかかわりに壮大なロマンを見ることになります。その豪族たちのお墓が宗像市、福津市にたくさんあります。新原・奴山古墳群とともに、沖ノ島が「神の島」として世界遺産に登録されたのも、長い時の流れの中で、日々の安全を祈り、守られていることに感謝の祈りを捧げ、神様とともに暮らす人々がいたからでしょう。   

鎮国寺

宗像大社の近くに鎮国寺というお寺があります。空海が仏教を学ぶため唐に渡る途中、激しい嵐にあい、宗像大社の神に祈ったところ嵐が静まり無事唐へ行くことができたのです。帰国した空海は宗像大社に礼参しました。その時に啓示を受け、宗像大社を見守る場所に鎮国寺を建立したと言われています。本堂では、空海作の三体の仏像を拝することができます。季節の花がいつも優しく出迎えてくれる大好きなお寺のひとつです。

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