島原半島の旅

最終更新日 2021/06/18

島原半島は長崎県の南西に位置し、温泉地として有名な雲仙の他にも楽しめるところがたくさん在ります。雲仙は遊歩道が整備された地獄巡りが見どころです。温泉特有の硫黄の匂いが立ち込め地中から噴き出す蒸気と熱気が当たり一面を覆い尽くす様子から、雲仙地獄と呼ばれています。

足を置いて地熱や噴気を味わえる「足蒸し」や蒸気で蒸した温泉卵を販売している「雲仙地獄工房」、休憩場所としての「雲仙地獄見台」など開放的な雰囲気で地獄のイメージとは程遠い楽しい場所です。

雲仙での今回の宿は宮崎旅館です。老舗の旅館で雲仙地獄のすぐ傍にあります。きれいな日本庭園もあり、ゆったりと寛げる宿です。宿では、白濁した硫黄のにおいのする温泉につかって、疲れを癒してから、食事です。行き届いたおもてなしのもと、部屋で頂いた夕食は、とても満足のゆくもので、幸せな気分になれました。

仁田峠

翌日は、雲仙から車で20分程の仁田峠に行きました。春のミヤマキリシマ、夏のヤマボウシ、秋の紅葉、冬の霧氷と一年を通して四季折々の雄大な自然を楽しめるところです。駐車場から、標高1080メートルの妙見岳山頂までロープウェイで登ることができます。頂上の展望台からは普賢岳、平成新山を間近に望むことができ、殊に山一面を真っ赤に染める紅葉は九州でも有数の見どころの一つと言われています。

城下町 島原

仁田峠を後にして城下町島原に向かいます。島原の中心は歩いて回れる範囲に、島原城、その近くに武家屋敷跡、「鯉の泳ぐまち」などがあります。水に恵まれた島原には、60か所もの湧水ポイントがあります。島原は水道料がとても安いそうです。

島原城は400年前の石垣が残っています。城の周囲の堀はたくさんの蓮で埋め尽くされています。天守閣の内部には、キリスタン資料や郷土資料が展示されています。城内では「島原城7万石武将隊」の服装をした人たちが出迎えてくれます。武将や忍者の服を着ての記念撮影もできます。城内の一角には、長崎市の平和記念公園に設置された「平和記念像」の作者、北村西望の「西望記念館」もあります。市内を流れる大手川にかかる各橋でも彼の彫刻を見ることができます。

城の近くには武家屋敷跡があります。ここは下級武士の屋敷跡で水路が流れる通りに面した3軒の武家屋敷の中を見学することができます。かつては生活用水として使われていた水路や周辺の石垣が藩政時代の面影を今に残しています。

豊富な水に恵まれた町

島原には、古い町並みが残る露地の水路に鯉が泳ぐ場所があります。島原城から徒歩10分くらいのところです。水路に放流された錦鯉がゆうゆうと泳ぐ様子は、水の町を象徴する写真スポットの一つです。この街並みの中に「ほうじゅう」という雰囲気の良い食事処があります。お勧めメニューはガンバ寿司(ふぐの押しずし)と具雑煮に「かんざらし」のデザートが付く定食です。具雑煮はかつおだしのスープに餅や野菜、鶏肉など13種類もの具材が入る島原名物のお雑煮です。「かんざらし」も島原名物で白玉団子を清水にさらして甘いシロップで食べます。値段もリーズナブルです。

同じエリアにある「湧水庭園四明荘」も素敵な所です。歩き疲れた時には、ここでゆっくりとお茶を頂きながら、水の上に浮かんでいるような座敷で休息できる癒しの場です。近くのアーケード街にも湧水庭園があります。「しまばら水屋敷」と呼ばれる明治5年に建てられた一階が和風、二階が洋風の木造商家だったモダンな建物です。2階には驚くほどたくさんの猫の置物が飾られています。地元には「猫屋敷」と呼ぶ人もいます。

普賢岳の火砕流を今に伝える「がまだすドーム」

島原散策の後は、車で10分ほどの「がまだすドーム」(雲仙災害記念館)に行きます。「がまだす」はこの地方の方言で「頑張る」という意味です。島原は1990年の普賢岳の噴火、続いてその後の火砕流により大きな被害を受けました。その時、土石流が海に流れ込んでできた場所に建てられた建物です。自然の驚異と災害を風化させることなく後世へ残しながら、火山や防災、ジオパークまで、幅広く学べる場として2018年4月リニュアールしています。

大昔の火山の噴火でできた島原半島。温泉や美しい山の景色を楽しめる一方、自然が時には大きな災害をもたらすものだということ、そしてまた人々が大きな災害の後どう復興を遂げたかを、がまだすドームで学ぶことができました。

Scroll to Top