最終更新日 2021/11/06
大分県で人気の温泉地、由布院温泉。活火山である由布岳の麓にあります。標高1584mの由布岳は、その形から「豊後富士」とも呼ばれ、人々の信仰を集めてきました。今では、JR由布院駅からまっすぐ行くと、お土産店、おしゃれなスイーツ店、レストランが並ぶ賑やかなメインストリートの湯の坪街道で、多くの観光客が買い物や食べ歩きを楽しむ姿を見かけます。
しかし、由布院が人気の観光地となったのは、平成になってからなのをご存じでしょうか?他の温泉地と違い、歓楽街や大型ホテルは少なく、田舎の小さな温泉地だった由布院ですが、その美しくのどかな景観が人々を引きつけるようになり、次第に人気の観光地になりました。せっかくなら、1泊してゆっくり温泉と観光を楽しんでほしい由布院です。
ではさっそく、由布院の魅力についてまとめてみました。あなたは、どこへ行きたいですか?
1. 金鱗湖
金鱗湖(きんりんこ)は、由布院観光の代表するスポットです。湖の底から由布岳からの湧き水と温泉が共に湧き出ている珍しい湖で、気温の下がる秋冬の早朝に、湖の表面から霧が立ち上がり幻想的な表情を見せてくれます。その姿を見ようと、朝早くから金鱗湖に散策へ行く方が多く見られます。
「金の鱗の湖」、なんだか不思議な名前ですよね?1884年に大分で有名な毛利空桑(もうりくうそう)という儒学者が、湖水で泳ぐ魚の鱗が夕日の光できらきらと金色に輝いているのを見て、金鱗湖という名前になったそうです。湖をのぞいてみると、鯉が泳ぐ姿を見ることができます。
湖は1周400mほどなので、のんびり散策してみてはいかがでしょうか?幻想的な霧に覆われる姿、美しい新緑、真っ赤な紅葉など、季節により様々な表情で人々を魅了してくれます。
2. 天祖神社
金鱗湖を1周散策していると、湖畔にたたずむ小さな神社に気づきます。由布院には、天祖神社(てんそじんじゃ)と金鱗湖にまつわる龍神伝説があります。
その昔、由布院地区一帯は大きな沼地のような湖だったそうです。そこに1匹の龍が住んでいました。由布岳の女神、宇奈岐日女神(うなぐひめ)が力自慢の道臣命(みちのおみのみこと)に、田畑を開くため、湖の壁を蹴破るよう命じました。すると、湖水は流れ出し、現在の由布院の盆地が現れたそうです。
しかし、この湖に住んでいた龍が住みかを失い、天祖の神に「私は、この湖に住んでいた龍です。どうか、この地に少しばかりの安住の地をください。そうすれば、清い水を湧き出させ、永くこの地をお護りします。」と懇願しました。天祖の神は、願いを聞き入れ与えた住みかとなったのが、今の金鱗湖と言われています。
拝殿の背後にある金鱗湖に鳥居が神秘的な雰囲気です。今でも由布院を護り続けている龍神様に感謝しながら、お参りしませんか?
3. 由布岳
由布院のシンボル由布岳は、町の様々な場所から見ることができます。でも、町の中心部から見上げると、どうしても電線、土産店、観光客が一緒に映り込んでしまいます。人の多い金鱗湖や湯の坪街道から離れて、田園風景と由布岳を一緒に写真が撮りたい方におすすめなのが、由布院駅を背にして右手に進むと山水館という温泉宿があります。その近くにある大分川に架かる御幸橋から川沿いを金鱗湖方面へ行ける散策道と城橋からの由布岳の眺望です。また、宇奈岐日女神社の近くも良い写真スポットです。
4. 観光辻馬車
由布院散策をしていると、観光馬車を見かけます。この馬車に乗ってみたい!という方も多いのではないでしょうか?約50分の乗車で、JR由布院駅を出発し、町の中心から離れて由布院の美しい田園風景や由布岳を眺め、佛山寺、宇奈岐日女神社などの観光も含まれています。
予約は、由布院駅の横にある「由布市ツーリストインフォメーションセンター」にて当日のみの受付です。馬車に乗りたい方は、由布院に到着後、最初に馬車の予約をして、乗車時間まで観光や買い物を楽しんで時間調整するのがおすすめです。
大人(中学生以上)1800円、子供(4歳以上)1300円です。3月~12月の運行で、冬や馬の体調不良時は運休です。
5. 宇奈岐日女神社
宇奈岐日女神社(うなぎひめじんじゃ)には、由布院の守り神、宇奈岐日女が祀られています。うなぎって、変わった名前ですよね?
古来より沼地だった由布院に、沼の精霊として「うなぎ」を祀ったのが由来ではないかと言われています。金鱗湖の伝説でご紹介したように、土地の開拓に苦労していた人々が田畑を開けるように、宇奈岐日女の神が力自慢の道臣命(みちのおみのみこと)に湖の壁を蹴破るよう命じ、現れたのが現在の由布院の盆地と言われています。この地の人々から由布院の守護神として親しまれています。境内には、1991年の台風で倒れたご神木の杉の切り株が展示されています。
6. Comco Art Museum Yufuin コムコアートミュージアム由布院
2017年10月にオープンした Comco Art Museum Yufuin コムコアートミュージアム。隈研吾氏の設計です。由布院の風景に溶け込み、自然と調和したデザインになっています。
おすすめなのが、2階オープンギャラリーです。由布岳を眺望できるテラスの大きな犬。みなさんも幼い頃、大きな運動場だったと記憶していたけど、大人になって見ると、あれ?こんなに小さかったかな?という錯覚を経験したことはありませんか?この犬のアートは、そんな幼少期の思い出と由布岳を調和させて表現しています。
7. 狭霧台
狭霧台(さぎりだい)は、標高680mに位置している展望台です。由布院の町並みと由布岳を間近で眺望できます。名前の狭霧とあるように、秋冬の早朝に現れる朝霧はとても神秘的です。目の前に迫る由布岳は、季節により色や表情を変え、人々を楽しませてくれます。
さて、行ってみたい場所は見つかりましたか?買い物、食べ歩き、金鱗湖散策だけで帰ってしまってはもったいないです。人混みから離れて川沿いをのんびり散歩しながら、由布院の大自然と歴史に触れてみませんか?地元の方が自然との調和を心がけ由布院の美しさを守ってくれていることに、あなたも気づくかもしれません。
芦田かおり
オーストラリア、カナダで現地旅行ガイド、国内海外添乗員を経験。総合旅行取扱主任者、インバウンド1級講師、通訳案内士(英語)の資格を生かす旅のプロ。旅行の仕事に携わって17年目。食べるのも写真を撮るのも大好き!現在は、通訳案内士の仕事のかたわら、トラベルライターとして全国の旅の情報をお届けしています。
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