日本を代表する伝統工芸の町 有田

最終更新日 2024/03/06

李参平の碑

有田焼の始まりは、1592年から1598年にかけての豊臣秀吉による2度の朝鮮出兵から武将達が日本に戻る際、朝鮮半島に住んでいた陶工リ・チャムピャン(李参平)を佐賀鍋島家が連れ帰った事によります。彼のその後の功績は有田、佐賀藩、さらに日本にとって計り知れないものがあり、今でも地元では彼を崇め讃え続けています。

陶山神社(とうざんじゃんじゃ、または、すえやまじんじゃ)では、1917年には有田焼300年を記念して陶祖李参平の碑も建てられました。今でも毎年5月4日には陶祖祭が開かれ日韓の関係者が参列します。陶山神社は1658年創建で元々応神天皇を祀っていたが、1887年に李参平も祀られるようになりました。特徴はなんと言っても日本一の大きさを誇る磁器で作られた大鳥居です。そして駒犬や大水瓶、さらに階段横の灯篭なども有田焼の磁器でできています。

陶山神社からさらに丘を歩いて約10分ほど上がったところに李参平の碑があります。さらに高台にあるのでここからの有田の街並みの眺望は見応えがあります。春の時期は、桜、秋は紅葉が美しい場所でもあります。

泉山磁石場

その李参平が試行錯誤をしながら陶磁器作りに取り組みつつ、良質な土や石を探し求め有田周辺を20年近く歩き回り遂に磁器製作にふさわしい陶石を見つけた場所が標高518mの泉山でした。有田焼の原料として四方八方を削りに削って、最盛期には年間1万トンを産出しました。400年をかけて一つの山が焼き物に変わったのです。

現在は特別な許可がないと敷地には入れません。ここから掘り出された陶石が有田焼に変わり、徳川将軍家、皇室、海を渡りヨーロッパの王宮にも届けられた歴史や、昔は手掘りのためこの磁石場からは岩を砕く様々な音が遠くまで聞こえていたという情景に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

有田焼の代表的な窯元

柿右衛門窯   

器の素地がシンプルな白ではなく濁手と呼ばれる独特の乳白色で、赤絵が最大の特徴です。1670年代には既に最も調和しているといわれる濁手と赤絵の製法が完成していたと言われています。有田町南山丁352に展示場と歴代代表作品が見られる古陶磁参考館があります。

今右衛門窯

360年の歴史を持つ色鍋島の伝統の技を今に伝えています。江戸期は佐賀鍋島藩の御用赤絵師、現在は第14代今泉今右衛門が伝統の墨はじき技法を生かすなど意欲的に作品を作り続けています。有田町赤絵町に並ぶ窯元や陶磁器店の一角に今右衛門窯があり、文政の大火の後天保元年に建てられた、有田では最も古い建物です。

源右衛門窯

260年以上の歴史を誇る名窯です。有田町丸尾丙2726に数棟の工房と煙突がそびえます。ギャラリーは食卓の焼き物と住まいの焼き物に分かれています。有田焼の製造過程を見学できる窯の一つです。

博物館・ギャラリー・その他

トンバイ塀

トンバイとは登り窯から出た廃材の耐火レンガの事です。トンバイと陶片などを赤土に混ぜて塗り固めて作った表情豊かな塀をトンバイ塀と呼ばれ、有田町内で見る事ができます。泉山の大イチョウ付近から大樽の有田陶磁美術館までの裏通りに多く見ることができます。

チャイナオンザパーク

1650年に有田で窯を開いた深川家が、1894年に深川忠次が深川製磁という会社を設立しました。忠次館ギャラリーには1900年のパリ万博で金賞受賞の2mを超える大花瓶をはじめ、深川家秘蔵コレクション、明治期メモリアルコレクション等、目を見張る宮内庁御用達深川製磁コレクションを見学することができます。深川製磁のトレードマークは富士山です。

九州陶磁文化館

陶磁器専門の県立の美術館で、有田焼や唐津焼など佐賀の陶磁器を中心に、九州各県を代表する陶芸家の作品など名品が展示されています。

香蘭社ショールーム

創業から約300年の歴史を持ちます。明治8年に会社設立と同時に宮内庁御用達、万国博金賞受賞をはじめ世界各国で名誉を受賞してきました。香蘭社ショールームでは、気品高い様々な美術作品を展示しています。所在地:有田町幸平1丁目3-8

岩尾磁器對山窯ショールーム

有田焼初期時代から数えて14代を数えます。岩尾磁器對山窯ショールームでは、陶器だけでなく、化学工業用磁器、水処理環境装置、耐酸レンガ、オーダーメード景観材などが展示されています。磁器の総合メーカーならではのショールームです。福岡市にあるJR博多駅構内の柱などに使われている、総計54,000枚の有田焼陶板はこの岩尾磁器製品です。

李参平の末裔 陶祖李参平窯

初代より4代まで有田焼を作陶していましたが、その後長い間途絶えていました。先代の13代が、国鉄退職後、先祖に申し訳ないと一念発起し窯を再興しました。現在、14代が2005年に李参平を襲名しています。2008年には、有田町幸平にギャラリーショップを開設しました。

有田陶器市

有田陶器市はゴールデンウィークの風物詩です。春の陶器市だけでなく、秋の有田陶器市や早春の有田雛の焼き物祭りなどがあり、有田焼をPRするイベントが近年増えてきています。

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