24時間の京都の旅

最終更新日 2021/06/18

京都は大好きな場所です。何度行っても、飽きることがありません。そんな京都を、24時間という限られた時間で案内した時の話です。ゲストの日程の都合で24時間しかない中希望を聞きながら選んだのは、伏見稲荷大社と、二条城、金閣寺です。

前日は大阪に宿泊の二人と京都駅での待ち合わせ。広い京都駅ですが、インホメーションで無事に会えました。まずはJR奈良線で伏見稲荷大社に行きます。荷物は京都駅のロッカーに預けておきます。

朱色の鳥居が印象的な伏見稲荷

稲荷駅で降りるとすぐの伏見稲荷大社はたくさんの朱塗りの鳥居が大人気で常に人でいっぱいです。稲荷神社は元来、豊穣を祈ったものでしたが、今は商売繁盛を祈る人が多くなっています。時折、近代的なビルの屋上にも小さなお稲荷様が祀られているのを見かけます。

農業が生活の糧を得る生業であった頃、天候に左右される稲の実りを人々はすがる思いで神に祈ったことでしょう。今では、多くの商売に携わる人々がその成功を祈ってお参りしています。そして願いがかなった折には、朱塗りの鳥居を寄贈するのです。どんどん増え続ける鳥居は、神社の御利益が確かなことを示すものでしょう。

時間があれば赤い鳥居のもと、山頂まで登って見ることをお勧めします。いい運動になります。途中に茶店もあります。稲荷神社は狛犬ではなく、狛狐に守られています。白い狐は神の使いとして尊ばれています。

てんぷらが食べたいというリクエストに従い、京都駅地下街ポルタで夕食を済ませました。この時刻には、きれいにライトアップされた京都タワーが見られました。

京都の古い町屋を改装した宿

今夜の宿は「お宿布屋」です。宿のご主人の実家を改装した宿で、一晩に二組しか泊まれません。浴衣の着方を説明した後に、お風呂にはいってもらいました。気持ちの良い木の湯船です。畳の部屋に敷いた布団で寝るのは彼らにとって初めての体験でした。

翌朝は7時に朝食です。坪庭の見える一階の部屋に朝ご飯が準備されます。炊き立てのご飯に、心のこもった手料理を食べ終わった二人は、とても満足そうに、「今まで食べた中で一番おいしい料理だ」と喜んでくれました。私もここの朝ご飯が大好きです。

世界遺産の二条城

この宿から、歩いて行ける距離に御所や、二条城があります。二条城は、1603年に徳川初代将軍家康が、京都御所の守護と将軍上洛の際の宿泊所として造営したものです。三代将軍家光が、伏見城の遺構を移すなどして、1626年に完成した城です。二の丸御殿では鴬張りの廊下、33もの部屋に描かれた素晴らしい襖絵や、彫刻など重要文化財となっている建造物や美術工芸品を見ることができます。

1867年に15代将軍慶喜の大政奉還により、朝廷のものとなりました1939年、京都市に下賜され、1944年にはユネスコの世界遺産に登録されました。1611年に豊臣秀頼と家康の会見が行われた場所、そして徳川最後の将軍による大政奉還というように、徳川家の栄枯盛衰と日本の歴史の移り変わりを見てきた二条城二の丸御殿は1952年、国宝に指定されました。

二の丸庭園は昔からの造庭術にしたがい、池の中央に蓬莱島、左右に鶴亀の島を配した書院造のお庭です。1626年、後水尾天皇を迎えるために小堀遠州のもとで改修されています。御殿の中から鑑賞しても美しい庭園です。

極楽浄土をイメージした金閣寺

次は、二条城の前からバスで金閣寺に向かいます。清明神社、西陣織会館を経由して金閣寺前に着きます。金閣寺の正式名称は鹿苑寺です。臨済宗相国寺の塔頭寺院のひとつです。お釈迦様の舎利(骨)をまつった舎利殿(金閣)の建物が有名になり、金閣寺と呼ばれています。銀閣寺もまた相国寺の塔頭で、正式名称は東山慈照寺です。

金閣のある鏡湖池を中心とした庭園は、室町時代の代表的な池泉回遊式庭園です。晴れた日に、この池に映った金閣寺は本当に綺麗です。当時の諸大名が競って献納したといわれる名石があちらこちらに配されています。

金閣を見ながら広い池のまわりを通って小高い場所にある茶室の夕佳亭(せっかてい)まで行くと、また違った景色が楽しめます。途中には龍門滝があり、中国の伝説「鯉の滝登り」にちなんだ「鯉魚石(りぎょせき)」が置かれています。

こうしてわずか24時間でしたが、楽しい思い出の残る京都の旅となりました。

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