トレッキングだけではない 屋久島でリバーカヤック

トレッキングだけではない屋久島 自然を独り占め!リバーカヤック

鹿児島県から約60km南の洋上に浮かぶ屋久島は、世界自然遺産に登録されている美しい島です。島のほとんどが森林に覆われ、推定樹齢2,000年〜7,200年と言われる縄文杉や白谷雲水峡などの渓谷があり、ウミガメなどの動物も多く生息するなど、屋久島はまさに自然の宝庫です。

そんな屋久島でのアクティビティといえば、まずはトレッキングですが、他にもダイビング、シュノーケリング、シーカヤックにリバーカヤックなどたくさんの楽しみ方があります。今回、安房川でのリバーカヤックに挑戦したのでご紹介します。

安房は、屋久杉の積み出し港として栄えた町です。この日は、安房川に近い料理自慢のゲストハウス「まんまる」で宿をとりました。ハンモック、芝生にベンチ、庭には真っ赤なハイビスカスの花が咲き、目の前には青い海が見えます。

もう10月ですが、海は気持ちがよさそうです。午前中は長袖にジャケットでトレッキングをしていたのに、里に下りれば亜熱帯の花、ハイビスカスが咲いていて海水浴も楽しめる、まさにこれが屋久島です。

屋久島は海岸部の平地から奥岳の山頂まで2,000メートル近い標高差があります。そのため、平地は年平均温度が20度近くの亜熱帯ですが、山頂部は年平均気温6~7度で北日本と同じような気候だそうです。驚きです!

これは、宿からの写真です。この写真の水平線の上にうっすらと見えるのは、種子島です。見ての通り、ほんとうに平らな島です。標高2,000メートル級の山が連なる円形の屋久島。そのすぐ隣に、細長くて平たい種子島。見事なコントラストです。

カヤック用に準備していた水着に着替えて海に向かって歩くと、小さいプライベートビーチのような海岸が開けました。海水がヒヤッとするようことはなく、快適でした。屋久島は黒潮の本流の中にあり、海面の水温は平均で19度以上だそうです。ただ、岩場だったので、ビーチサンダルは必需品でした。

屋久島で取れた新鮮な魚と地場焼酎をいただく

ビーチからお風呂に直行。そして、楽しみにしていた夕食です。屋久島で取れた新鮮なお刺身、タチウオ、モズク、山芋が並びます。山芋は「ヤクトロ」と呼ばれ、粘りの強い山芋です。どれも、美味しいものばかりでした。

お酒は、屋久島の焼酎「三岳」をお湯割りで頂きました。バナナの葉を描いたラベルが南国らしくて、可愛いですね。バナナから作られた焼酎ではなく(笑)、芋焼酎です。名前は、島の中央に連座する九州最高峰の宮之浦岳(みやのうらだけ)、永田岳(ながただけ)、黒味岳(くろみだけ)の三岳から取ったものだそうです。

気さくなご主人との会話も弾みました。屋久島の自然に魅せられてご家族で移住されたそうです。

夕食を終えると、散歩もかねて近くのスーパーにでかけました。東の水平線の少し上に、大きくて真っ赤な、まるで夕日のような月が出ていました。初めてみる、赤い月でした。満月の時期なので屋久島で星を見るのは無理と思っていましたが、視線を頭上に向けると、そこには満天の星が広がっていました。赤い月と宝石のような星を一度に見られるなんて、遠く屋久島まで来たかいがありました。しばらく奇跡のように美しい夜空を見上げていました。

スーパーではたんかんジャムのお土産を購入。お土産ショップよりかなりお得なお値段でした。たんかんは屋久島特産のみかんで、糖度が高くビタミンCが温州ミカンの2倍もあるそうです。

干潮時のみ入れる平内海中温泉

部屋に戻ると、屋久島の知人から平内海中温泉への誘いの連絡が入りました。大感激です!この温泉は引き潮の時だけ現れるため、入浴時間が干潮時前後の2時間だけです。今日の干潮は深夜1時頃です。日付が変わってからのピックアップとなりました。

30分ほどのドライブの後、到着。入り口の看板の写真を撮りました。ここから先のお風呂は撮影禁止です。

ちなみに、昼間はこんな感じです。

お風呂の少し手前には靴を脱ぐ場所があって、そこに料金箱があります。200円です。入浴される方は、お金も忘れずに持って行ってくださいね。

お風呂の海面に映る月がきれいでした。丁度いい湯加減で、少しトロットした感じ。かすかな硫黄のにおいがしました。深夜とあって、人も少なく、大自然のお風呂を満喫できました。

この温泉は、引き潮の時2時間だけ入れますが、海中から湧き出るお湯の温度が高めなので、お風呂が少し熱くなってきます。完全に潮が引いてしまう前からの入浴がお勧めです。混浴で水着禁止を貫くのは大変なことだと思いますが、この島の文化がずっと続くことを願います。大自然の中の天然風呂、自然との一体感!貴重な旅の思い出となりました。

屋久島の大自然をカヤックで

一夜明けて、翌朝は曇り空でした。日差しは柔らかく、風もなく、最高のカヤック日和です。真っ黒に日焼けした機敏なネイチャーガイドさんが迎えに来てくださいました。オールの使い方の説明を聞いた後、いよいよカヤックのスタートです。

河口からは、1,000m級の山が連なる前岳が見えます。前方奥のとがった山は、明星岳です。水の透明度が高くて、まるでボートが浮いているような感覚です。波もなく平らな水面を、照葉樹の森を両側に見ながら、滑るように進みます。ネイチャーガイドさんが、アジがいますよ、と教えてくださいました。ここは河口に近いため、汽水域です。下層には海水が流れているそうです。

カヤックでは、川面近くからの低い視線で周りの自然の造形美を楽しむことができます。さらに進むと、両岸には大きな石が多くなり、ところどころでは石を伝って水が流れ出ています。水の透明度はさらに増したような気がします。まるで浮いているような浮遊感のなか、V字渓谷を進みます。

この辺りになると、魚がまったく見あたりません。屋久島の川にはほとんど魚がいないそうです。ネイチャーガイドさんによると、一般的に水がきれいなところは魚の餌となるプランクトンも少なく、魚は生息できないと言われているとの事でした。屋久島の川は、そこまできれいなんですね!

水に関して、もう一つ。屋久島の水は、カルシウムやマグネシウムをほとんど含まない「硬度10」という超軟水だそうです。屋久島は、主にミネラル含有量が少ない花崗岩でできています。土壌が浅いため、降り注いだ雨は花崗岩質の土壌に浸透し、すぐに湧き出てくるのだそうです。そのため、屋久島の水は、雑味のない軽くておいしい水で、コーヒーやお茶を入れると、本来の味や香りが引き立つそうです。

岸に上がると、ネイチャーガイドさんが屋久島の水で美味しいコーヒーを入れてくださいました。最高の場所で、最高の一杯を頂きました!

ここが折り返し点です。帰りはカヤックにも慣れて、自由でスローな時間を過ごしながら河口を目指しました。人気のハイキングに比べるとカヤックは比較的すいているそうです。少し早く出発したこともあり、自然を、たっぷり独り占めできました。

河口に近づくと風が出ていて、海の近くはうねりがありました。台風が接近中とのこと! 島の天気は変わりやすいです。ツアー終了後は、空港へ。いよいよ屋久島ともお別れです。

洋上のアルプスといわれ、独特の自然が織りなす美しい自然に満ちた屋久島。山はもちろんのこと、海も川も美しく、食べ物もおいしく、島の方々は温かく迎えていくださいました。また来ます!と誓いながら、帰路につきました。